Amazon独自のレビュー施策プログラムとは

Amazonについて

ネットショップに限らずさまざまなWebサービスやリアル店舗など、レビュー評価を意識する機会は多いのではないでしょうか。Amazonに出店する側にとっても、レビューは決して無視できない要素となっています。今回は、Amazonが取り入れている独自のレビュー施策プログラムについてご紹介します。

ネットショップ利用者が重視するレビュー

2018年にクロス・マーケティングが実施した調査によると、インターネットユーザーの8割弱が購入前に口コミをチェックすると答えています。チェックする場面としては、買ったことのない商品を購入するときと答えた方が68.8%と多くなっています。
出典:https://www.cross-m.co.jp/report/it/or20181030/

実際に商品を手に取ることができないネットショッピングにおいて、口コミ・レビューは非常に重要です。商品写真や説明文に加えて、他のユーザーのレビューによる客観的な評価は購入判断の貴重な材料となります。

実際の使用感などの具体的なコメントはもちろん、5段階の星の数で表される評価やレビューの数が多い・少ないといった点も商品の総合的な印象に影響します。

Amazonのレビュー表示

こちらはAmazonの商品ページです。PC・スマホどちらで見た場合でも、ページを開いたときにまず目に入る部分に5段階の星で表されたレビュー評価が表示されています。

カスタマーレビューの欄では、5段階評価の分布や実際に商品を利用したユーザーの率直なコメントを見ることができます。

星5などの好意的な評価が多ければ迷っているお客様にとって購入の後押しとなる一方、悪い評価が多いことで購入を踏みとどまるケースもあります。気をつけたいのは、レビューが少ない・あるいは全くないことが不安を感じさせる要因となる場合もあるという点です。Amazon出店側としては、ぜひ高評価や高品質のレビューを多く集めたいところです。

レビューの問題点

ネットショップ利用者にとって貴重な情報源となるレビューですが、なかには問題のあるレビューも見られます。「到着が楽しみです」というようなまだ商品を利用していない段階で書き込まれたレビューは他のお客様にとって参考になるものとは言えませんし、いわゆるサクラと呼ばれるような実際の利用体験に基づかないレビューも商品の実際の価値を伝えるものではありません。口コミ投稿でクーポン贈呈というような見返りを目的としたレビューも、本来的なレビューの意義からは離れたものになってしまいます。

低品質なレビューは単に参考にならないというだけでなく、ECモール全体の信頼感にも関わってきます。Amazonは、レビューの品質向上のためにさまざまな対策を行っています。

Amazon Vine先取りプログラム

Amazonでは、価値あるレビューを集める施策として「Amazon Vine先取りプログラム」を導入しています。

Amazon Vineプログラムは、質の高いレビューを投稿しているユーザーを対象にした招待制のプログラムです。Vineプログラムの対象に選ばれると、商品を無料で注文し実際に使用することができます。Vineプログラムを通じて注文した商品のレビューは一般のレビューと同様に商品ページ上に表示され、特別なバッジによってVineカスタマーによるレビューであることが示されます。

Vineプログラムの参加者にとっては、商品を無料で体験できるのはもちろん大きなメリットです。Amazonとしては、これまで実際に高品質なレビューを投稿していたユーザーにさらに多くの商品のレビューをしてもらうことで、全体的なレビュー品質の向上が期待できます。出品者としては、質の高いレビュワーに評価してもらうことで商品ページに有用なレビューを集めることができます。一般のAmazon利用者にとっても、参考になるレビューが増えれば商品の購入判断がしやすくなります。

Amazon Vineの活用方法

Amazon Vineの参加手順

なかなかレビューが集まらないことに悩んでいる出品者にとってAmazon Vineは非常に魅力的ですが、参加には条件が設定されています。なかでもポイントとなるのが下記の点です。

・大口出品
・Amazon Brand Registryで承認を受けている
・FBA出品商品

セラーセントラルの画面左上にあるメニューから「広告」メニューに進み、「Amazon Vine」メニューを開くことができればOKです。「権限がありません」と表示されてしまう場合は、残念ながら利用条件を満たしていないためAmazon Vineを利用することができません。

Amazon Vineでは、最大30点まで対象商品を登録することができます。登録できる商品にはいくつか条件があり、特に注意したいのは下記の点です。

・レビュー数が30件未満であること
・コンディション「新品」で購入可能なFBA出品商品があること
・商品の画像と説明があること
・レビュー投稿のために別途商品の注文が必要となるものは不可(※)
(※)別途商品の注文が必要となるものとは、例えば家電製品の特定機種でのみ使用できるバッテリーなどです。

登録後は、Amazon Vineのダッシュボードで商品へのリクエストやレビュー投稿の状況確認、登録のキャンセルを行うことができます。

Amazon Vineを利用する際の注意点

Amazon Vineへの登録は、1つのASINにつき1回のみ登録が可能です。登録後にキャンセルすると再度登録することはシステム上できません。登録する商品の選定や登録するタイミングは予め十分検討しておきましょう。

商品は無料で提供する形となるため、商品そのものと手数料(FBA手数料・販売手数料・AmazonVineの手数料)は出品者負担です。以前はAmazon Vineの手数料は無料でしたが、現在ではレビューを投稿すると親ASINごとに20,000円の手数料が発生します。

また、Amazon Vineで商品を提供してもレビューの投稿は確約されていません。レビューが投稿されなければVine手数料は発生しませんが、提供した商品とFBA手数料・販売手数料は損失となってしまいます。

レビューの内容に関しても、ポジティブなものが投稿されるとは限りません。もし星1などの否定的な評価が投稿されても、ガイドラインに反したものでない限り取り消しや削除はできません。

Amazon Vineへの参加は、こうしたコストやリスクを認識したうえで判断する必要があります。

Amazon独自のレビュー施策プログラムとは まとめ

Amazonでは、レビュー品質向上のため独自のレビュー施策プログラム「Amazon Vine」を取り入れています。高品質なレビューを投稿しているユーザーに無料で商品を提供し、レビューの投稿を促すもので、レビューが思うように集まらないことに悩んでいる出品者にとって非常に魅力的です。Vineプログラムへの参加や登録できる商品には条件があるほか、商品の提供にあたっては手数料等の負担がある点、ポジティブな内容のレビューが確約されているわけではない点には注意が必要です。